ともろです
潰瘍性大腸炎という病気をご存知でしょうか?
潰瘍性大腸炎とは大腸に炎症が起きてしまう腸の病気のひとつです。その原因はいまだ解明されておらず、免疫の異常や食生活の影響などといわれています。
潰瘍性大腸炎を完治する治療法は見つかっておらず、寛解(症状が落ち着いている)と再燃(症状が悪化している)を繰り返すのが特徴です。
当院にも、寛解と再燃を何度も繰り返しなんとか症状を和らげたいと来院される方が多くいます。
潰瘍性大腸炎の主な症状は
- 粘血便(粘り気のある血混じりの便)
- 下痢
- 腹痛
- 発熱
- 体重減少
- 貧血
などがあげられます。
はじめのうちは、下痢が続いたり腹痛が増えたりと、ただの胃腸の疲れと思われるような症状ですが、症状が悪化すると頻回腹痛や便意などにより、通勤・通学中にトイレに行きたくなったり、会議や授業などで長時間トイレに立てない状況が困難になったり日常生活を普通に送りづらくなってしまうことが出てきます。
潰瘍性大腸炎の治療の考え方は
- 症状が出ている時に寛解に導く治療
- 症状が落ち着いている時に寛解を保つ治療
この2つの考えに基づく治療をそのときの状態に合わせて選択していきます。完治が難しい症状だからこそ継続した治療をしていく必要があります。
発症してから、「症状が落ち着いたから治療をやめる」や、「薬を飲んでも変わらないから中断する」などが難しい病気なのです。
治療せず放置してしまうことで、はじめは直腸付近の炎症のみだったものが、腸全体へ広がってしまうため楽観視はできません。
潰瘍性大腸炎を悪化させないためにも、最近下痢が続いたり頻繁に腹痛に襲われたり、便に血が混じったりするならば早めに治療していくことが重要です。
早めに腸の調子を整えるように治療をおこなうことで、症状の悪化を防いだり寛解の状態を保つことにつながっていきます。潰瘍性大腸炎の治療は、病院での薬による治療が主体となりますが、鍼灸治療も併用しておこなうことができます。

西洋医学的な治療はとにかく炎症を抑えるという点が重視されています。しかし、一度寛解するも多くの場合が再燃を起こし、再度炎症を抑える治療を施さなくてはならなくなるため、再燃をいかにおこさないようにすることが課題といえます。
再燃を起こさないようにする力とは、薬で抑え込んで作り出しているものではなく、患者さん自身がもともと持っている治癒力が重要になってくると東洋医学では考えます。
人はもともと病気や炎症などを治そうとする力を持っています。しかし胃腸の働きが弱まったり血を消耗したりすると、自分自身を治そうとする治癒力が弱ってしまいます。
つまり、東洋医学から見た潰瘍性大腸炎とは、頻回な下痢や出血が起こることで人がもともと持っている治癒力を急速に弱らせていく病気といえるのです。東洋医学のひとつである鍼灸治療では、この治癒力を高めることで再燃を起こしにくい体になるよう治療していきます。
患者さんひとりひとり病状は違ってきますが、基本はこの考え方により個人の状態に合わせた治療をします。症状の出はじめから鍼灸治療をすることは、胃腸の状態を整え体力の消耗を防ぐことにつながるため、症状の悪化を防いでいけるのです。体の調子が良くないと思ったとき「まだ大丈夫」と思って放置してしまうと大きな疾患が潜んでいることがあります。
潰瘍性大腸炎と診断を受けた方、再燃している方、寛解している方、どの状態からでも鍼灸治療は可能です。
自分自身の体のためにも不調をそのままにせず早めにご相談下さい
以上
専門外来|潰瘍性大腸炎