ともろです
妊娠悪阻という言葉があります。簡単に言うと「つわり」のひどいもの、よくテレビドラマで女性が口に手を当てて台所に走っていくシーンを見た記憶がある方もいるのでは。
急に気持ち悪くなり吐きそうになると、「ご懐妊」の兆候として捉え、妊娠を希望する方達にとっては喜ばしい出来事…のはずですが、ご本人にとってはこの上なく不快なものです。
つわりは、妊娠することで大量に分泌される妊娠ホルモン(hCG:ヒト絨毛ゴナドトロピン)が原因とされ、妊娠5か月以上でも15%ほどの妊婦さんがつわりを感じています。
当院の患者さんでは、近年の傾向として虚弱体質の女性、ストレス過多、高齢での妊娠などの影響か、ひどいつわりがあらわれています。
つわりは、東洋医学では妊娠によって月経が止まり、経血が排出しなくなることで衝脈という経絡の流れが逆流することで胃の気が逆流し、「つわり」を引き起こします。
東洋医学では子宮のことを「胞宮」と呼んでいます。胞宮の機能と栄養は、胞宮と直接つながっている衝脈・任脈によっておこなわれます。
東洋医学では、この二脈の変調によって婦人病が起こると考えています。
例えばつわりがひどい場合は、この二脈に関係する臓腑・経絡を調節する必要があります。ここでいう臓腑・経絡の調節とは、
- 腎気を補い
- 脾胃を和し
- 肝気を疎し
気血を整えることです。また、「衝脈は陽明に隷う(したがう)」という言葉もあり、陽明に属す胃の経絡を元気にすることで
生命力を生産し、蓄え、すべての機能を安定させてくれます。不思議なことに、以前の松尾芭蕉の記事 股引の破を綴り、笠の緒付かえて、三里に灸すゆるより でご紹介した足三里が治療の基本、安産にもつながるツボとなります。
妊婦さんも、松尾芭蕉のようなおじいちゃんも同じ人間、基本は食事と消化吸収です。
つわりは、精神的不安でも症状が増強してしまいます。これからお母ちゃんになる女性は、何事も笑い飛ばせる強い女性になってほしいというエールを送りたいと思います。
つわりに悩んだら鍼灸が良きです。つわりは我慢せず、さっさと鍼灸治療で吹き飛ばしましょう。
以上